MolForma

題材16 自作の部品(マイ部品)

置換基テンプレートにないトリメチルシリル基 –Si(CH₃)₃ を組み、接続点を決めて「マイ部品」として保存します。保存した部品はパレットの分類「マイ部品」に並び、組込みの置換基と同じく、クリックした水素を置き換えて付けられます。部品ファイル(.molforma-part.json)で受け渡す方法と、付けた分子の構造最適化も確かめます。

作るもの 内容
部品 トリメチルシリル(置換基、接続点はSi)
分子 トリメチルシリルベンゼン C₉H₁₄Si(24原子)
使う機能 周期表・検索での元素の選択、選択順と接続点、マイ部品の保存(部品名・種類・ファイル)、マイ部品の一覧・読込・一覧から外す、マイ部品の配置
計算 B3LYP/6-31G*、構造最適化
計算時間の目安 約48分(MPI 8プロセス、ほかの計算と並行。メチル基の回転で40ステップ)
計算環境 AMD Ryzen 7 2700X(8コア・16スレッド)、メモリ 32 GB、NWChem 7.3.1(Linux)
練習データ trimethylsilyl.molforma-part.json(部品)、tms_benzene.molforma.json

マイ部品のトリメチルシリル基を付けたベンゼン

1. 部品にする原子を組む

  1. 「ファイル → 新規」で空の分子にし、部品パレットの分類「原子」で検索欄に Si(または「ケイ素」・14)を入れます。「ケイ素」をクリックして空白に置くと SiH4 になります。元素のボタンにない元素は、検索か「周期表…」で選びます。

    分類「原子」の検索欄に Si を入れたところ。一覧に「ケイ素」だけが出ている

    図1 検索欄に Si を入れると、元素のボタンにないケイ素が一覧に出ます。

  2. 分類「置換基」の「メチル」で、Siの水素を3つ順に置き換えます。(CH3)3SiH(C3H10Si · 14原子)になります。
  3. 「全体整形」で整えて確定します。

    Siの水素を3つメチル基に置き換えて整形した (CH3)3SiH。Si1のまわりにC2・C3・C4と、Si–Hの水素H5が付いている

    図2 整形したトリメチルシラン (CH3)3SiH(C3H10Si · 14原子)。

2. 接続点を決めて保存する

置換基の部品は「外へ出る結合1本の内側の端」が接続点です。Si–Hの水素が外れて、そこに分子がつながる部品にします。

  1. 「選択」ツールで、接続点のSiを最初にクリックし、続けてメチル基の原子(炭素と水素の12原子)をShift+クリックで追加します。Si–Hの水素は選びません(選択 13原子)。選択範囲がつながっていないと保存できません。

    Si1を最初に、メチル基の12原子を続けて選んだところ(選択 13原子)。右の選択の欄の先頭がSi1で、Si–Hの水素H5は選ばれていない。パレットは分類「マイ部品」で、まだ部品がない

    図3 接続点のSiを最初に選び、メチル基の原子を追加します。Si–Hの水素は選びません。

  2. 分類「マイ部品」を選び、一覧の上の「選択原子を保存…」を押します。
  3. 「部品名」に トリメチルシリル を入れてOK、「種類」で「置換基(接続点1つ)」を選んでOKを押します。

    「選択原子を保存…」で出た「部品名」のダイアログに「トリメチルシリル」を入れたところ

    図4 部品名を入れます。

    「種類(置換基・配位子は接続点の原子を最初に選択)」のダイアログで「置換基(接続点1つ)」を選んだところ

    図5 部品の種類を選びます。

  4. 部品ファイルの保存先を聞かれるので、trimethylsilyl.molforma-part.json などの名前で保存します。分類「マイ部品」の一覧に「トリメチルシリル」が並びます。

    保存後の分類「マイ部品」。一覧に「トリメチルシリル」が並んでいる

    図6 保存した部品が「マイ部品」に並びます。

部品の種類は3つです。

種類 接続点 置き方
置換基(接続点1つ) 最初に選んだ原子 クリックした水素を置き換える
配位子 最初に選んだ原子(供与原子) 配位中心の紫のサイトをクリック
骨格(接続点なし・空白に配置) なし 空白をクリック

マイ部品の一覧はアプリ設定に保存され、次に起動したときも使えます。部品はプロジェクトにも記録されます。

3. マイ部品を付ける

  1. 「ファイル → 新規」で「ベンゼン」を置きます。
  2. 分類「マイ部品」の「トリメチルシリル」をクリックします。3D画面の下に「配置(トリメチルシリル): 置き換える水素をクリック」と出ます。

    ベンゼンを置き、「マイ部品」の「トリメチルシリル」を選んだところ。3D画面の上に「配置する部品 トリメチルシリル」、下に「配置(トリメチルシリル): 置き換える水素をクリック(ドロップも可)」と出ている

    図7 マイ部品を選ぶと、組込みの置換基と同じく、置き換える水素をクリックして付けられます。

  3. ベンゼンの水素をクリックします。トリメチルシリルベンゼン(C9H14Si · 24原子)になります。「全体整形」で整えて確定します。

    ベンゼンの水素をトリメチルシリル基に置き換えて整形したトリメチルシリルベンゼン

    図8 トリメチルシリルベンゼン(C9H14Si · 24原子)。

ほかの人から受け取った部品ファイルは、分類「マイ部品」の「読み込む…」で一覧に加えます。「一覧から外す」は一覧から消すだけで、ファイルは消しません。

4. 計算する

「2 計算条件」で、計算目的を「構造最適化」、手法を「DFT」(B3LYP)、基底関数を「6-31G*」にして計算します。

トリメチルシリルベンゼンの結果ビューアの「概要」。計算のエネルギー −640.924517685 Eh、構造最適化 収束(40ステップ)、HOMO–LUMOギャップ 6.40 eV、双極子モーメント 0.11 D

図9 トリメチルシリルベンゼンの最適化の「概要」。

実行した結果

項目 値
計算のエネルギー −640.924517685 Eh
構造最適化 40ステップで収束(3つのメチル基の回転は力が小さく、ステップが多くなる)
Si–C 1.893 Å(ベンゼン環)、1.895 Å(メチル基)
双極子モーメント 0.11 D

柔らかい自由度(メチル基の回転など)が多い分子は、最適化のステップが増えます。「最適化・振動数」の詳細設定で最大反復や収束の厳しさを調整できます。

うまくいかないとき

関連: 「1 分子」の画面・ツール・選択(ツールと部品パレット)、題材3 芳香族の置換体。