NWCHEM · MOLECULAR EDITOR
分子を組み、計算し、
結果を確かめる。
MolFormaは、量子化学計算プログラムNWChemのためのデスクトップアプリです。部品を置いて分子を組み、計算条件を選んでNWChemを実行し、最適化した構造や振動・軌道・スペクトルまでを1つの画面で確かめられます。
画面の流れのとおりに進める
ヘッダーに並ぶ番号付きのタブが、そのまま作業の順番です。
- 1分子部品・SMILES・構造ファイルから分子を組み、力場で形を整える
- 2計算条件手法・基底・電荷・計算目的を選び、組合せを検査する
- 3実行設定NWChemの実行ファイル・MPIプロセス数・ジョブの保存先
- 4入力プレビュー生成したNWChem入力を確かめ、保存する
- 結果ビューア構造・振動・軌道・スペクトル・反応経路を確かめる
- 履歴過去の計算を比べ、分子と条件を再利用する
1 分子
部品を置くだけで、計算できる分子に
原子・骨格・置換基・配位子・アミノ酸の部品をクリックで置き、結合の種類や距離・角度・二面角を数値で指定します。編集は候補として表示し、確かめてから確定します。
- 配位中心と配位形状、二座配位子、酸化数に合わせた全電荷
- 配列からのペプチド(末端キャップ・側鎖の状態)と残基の置換
- 立体(R/S・E/Z)の記録と反転、同位体、外部点電荷、自作の部品
- SMILES、XYZ・MOL・SDF・PDB、NWChem・Gaussian入力からも始められる
# Generated by MolForma for NWChem start molforma charge 0 geometry units angstrom nocenter noautosym C -0.044927 0.013489 0.036801 O -0.865382 0.865338 -0.750307 … end basis cartesian * library "6-31g*" end dft xc b3lyp mult 1 grid fine end task dft optimize task dft frequencies
2 計算条件 · 4 入力プレビュー
選んだ条件から、検査済みのNWChem入力を
手法・基底・電荷と多重度・計算目的を選ぶと、電子数と組合せを検査し、座標から task までそろった入力を生成します。入力プレビューでは、各行がどの設定から来たかをたどれます。
- HF・DFT・MP2・CCSD(T)
- 構造最適化・振動数
- 遷移状態探索・IRC
- 座標スキャン・拘束
- TDDFT
- COSMO・SMD
- BSSE補正
- ZORA・DKH・X2C
- Mulliken・ESP・NMR・分極率
結果ビューア
計算の結果を、その場で確かめる
NWChemをローカルで実行・停止し、進み具合とログを表示します。終わった計算は結果ビューアで開き、最適化した構造を次の計算に取り込めます。
- 最適化の経過と収束、エネルギーの一覧とΔE
- 振動のアニメーションとIRスペクトル、熱化学
- 分子軌道・電子密度の等値面(CUBE・MOLDEN)
- 励起状態と吸収スペクトル、スキャン・IRCの経路
AIからの操作(MCP)
MCPサーバーを内蔵しています。Claude CodeやCodexに登録すると、分子の編集から計算・結果の確認までを言葉で頼めます。NWChemの実行ファイルや読み書きする場所は、利用者が決めた範囲に限られます。
MCPサーバーの説明画面ごとの機能と操作
タブと画面の部品が何をするかを、画面写真とともに12のページで説明しています。
- 1 分子「1 分子」の画面・ツール・選択画面の構成、ツールと部品パレット、選択・削除・候補・視点、周期表
- 1 分子「1 分子」の右側のページ編集・変形・属性・配位・残基・電荷の各ページ、構造ツール
- 1 分子座標の表座標と属性の表の編集、構造ファイルの読込・書き出し、NWChemの座標ブロック
- 2 計算条件「2 計算条件」手法・基底・溶媒・相対論、遷移状態・IRC・スキャン、物性・BSSE、診断
- 2 計算条件詳細設定とCUBE・MOLDEN出力各セクションの詳細設定(56項目)、CUBE・MOLDENファイルの出力
- 3 実行設定「3 実行設定」NWChem・MPIの起動条件、実行前の確認、実行パネルとログ
- 4 入力プレビュー「4 入力プレビュー」生成したNWChem入力、入力の構成と編集元、コピー・書き出し
- 結果ビューア「結果ビューア」概要・最適化・振動・励起状態・経路・物性、MOLDENの分子軌道
- 履歴「履歴」ジョブの一覧、ΔEの比較、分子・条件の再利用、記録の修復
- 3D画面3D描画VTKとQPainterの描画、表示スタイル、計測・水素結合の表示
- 全体アプリ全体画面の共通部品、表示言語、自動保存と復旧、操作ガイド・マニュアル
- MCPMCPサーバーの概要AIクライアントからの操作、公開するツール、安全のための制限
題材から選ぶ実習
分子を組んでNWChemで計算し、結果を確かめるまでを題材ごとに通す16の実習です。どのページにも、実際に計算した結果と画面写真、練習データが付いています。
- 題材 1原子と結合から組むエタノール、アセトアルデヒド、ジメチルエーテルB3LYP/6-31G* 最適化 → 振動数
- 題材 2配位化合物・金属錯体trans-[Co(en)₂Cl₂]⁺(電荷 +1)B3LYP/def2-SVP 構造最適化
- 題材 3芳香族の置換体p-ニトロアニリンとo体・m体B3LYP/6-31G* 最適化 → 振動数
- 題材 4複素環をSMILES・構造式ファイルから作るカフェインB3LYP/6-31G* 構造最適化
- 題材 5鎖状分子と配座n-ブタンのanti・gaucheB3LYP/6-31G* 緩和スキャン
- 題材 6立体化学乳酸のR/S、2-ブテンのE/ZB3LYP/6-31G* 最適化 → 振動数
- 題材 7ペプチドACE–Ala–His–Glu–NME(電荷 −1)B3LYP/6-31G* 一点(COSMO・水)
- 題材 8残基の置換と鎖の編集His→Pheの変異体、鎖の分割と再連結B3LYP/6-31G* 一点(COSMO・水)
- 題材 9分子間錯体とBSSE補正ベンゼン–水の二量体MP2/6-31G* 一点・BSSE補正
- 題材 10イオンとラジカルフェノール、フェノキシラジカル、フェノラートB3LYP/6-31+G* 最適化 → 振動数
- 題材 11主族元素の分子SF₆(八面体)、PF₅(三方両錐)B3LYP/6-31G* 最適化 → 振動数
- 題材 12溶媒和クラスターと点電荷[Na(H₂O)₄]⁺ とTIP3P点電荷B3LYP/6-31G* 最適化と一点
- 題材 13遷移状態と反応経路F⁻ + CH₃Cl の遷移状態M06-2X 遷移状態探索・IRC
- 題材 14計算結果から次の計算へ最適化したp-ニトロアニリンCAM-B3LYP/6-31+G* TDDFT
- 題材 15同位体と原子の並び順エタノール-ODB3LYP/6-31G* 振動数
- 題材 16自作の部品(マイ部品)トリメチルシリルベンゼンB3LYP/6-31G* 構造最適化
入手とビルド
ソースコードはGitHubで公開しています。次の開発パッケージを入れてビルドします。計算には、別にNWChem(MPI版では対応するMPIランチャー)が必要です。
- 必須
- Qt6(Widgets、6.4以上)、Eigen3、Open Babel 3、CMake 3.21以上、C++20コンパイラ
- 任意
- RDKit C++(立体判定・残基認識)、VTK 9.1以上(3D描画)
# ソースの取得とビルド
git clone https://github.com/hnakada123/MolForma.git
cd MolForma
cmake -S . -B build -G Ninja -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release
cmake --build build -j 4
./build/molforma
ライセンス
MolFormaは GNU General Public License バージョン2以降(GPL-2.0-or-later)のもとで公開されているフリーソフトウェアです。
- ソフトウェアの利用・改変・再配布は自由です。改変・利用にあたって作者への連絡は不要です。
- 改変して配布する場合は、同じGPL(バージョン2以降)のもとでソースコードを公開する必要があります。Open Babel(GPL-2.0-only)とリンクしたバイナリを配布する場合は、GPLバージョン2の条件に従います。
- 本ソフトウェアは無保証で提供されます。いかなる場合においても、作者は本ソフトウェアの使用によって生じた損害について一切の責任を負いません。
ライセンス全文は LICENSE ファイルを、依存ライブラリのライセンスとの関係は NOTICE ファイルをご覧ください。
NWChemについて
MolFormaはNWChemを同梱していません。計算には別にインストールしたNWChemを使い、NWChemはそれ自身のライセンス(Educational Community License 2.0)に従います。MolFormaはNWChemの開発元とは関係のない独立したソフトウェアです。NWChemの入手方法や使い方は、NWChemのホームページ(https://nwchemgit.github.io/)をご覧ください。
NWChemで得た結果を発表する際は、NWChemの文献を引用してください:E. Aprà et al., “NWChem: Past, present, and future”, J. Chem. Phys. 152, 184102 (2020), doi:10.1063/5.0004997